鬱病を減らす会社「U2plus」

少し前に噂になったので、知っている方もいるかもしれません。株式会社U2plusについてです。

この会社、実は過去記事「医療業界の閉塞感は何なんだろう」に書かせていただいた、Livertyというチームが作り出したインターネットサービスです。

※U2plusそのものは独立した会社組織で、そのサービスの一部「うつっぽ」がlivertyと関係があります。

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この会社、コンセプトは簡単で「うつ病を減らす」事。代表の方がうつ病経験者で、インターネットを使ったサービスでなんとかできないかと思いついたと言っています。

サービス内容はというと、専用掲示板、セラピストからのアドバイス、うつテストなど多岐にわたるよう。インターネットサービスなため、アカウントが必要だが、それは最近の主流であるFacebookアカウントでログインできるようになっています。訂正。ホームページを見て勘違いしていました。申し訳ありません。



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基本料金は無料で、サイトの閲覧やテストは自由に行う事ができます。有料プランは2つで、月額470円と月額970円です。後者の料金プランだと、セラピストからのアドバイスを求める事ができるようです。

このサービスが有効であるかどうかはわからないですが、個人的には低い料金設定や万人に広げたいという意思は素晴らしいと思います。しかし、どうもデリケートな分野である割に、スピード感あふれるLivertyのサービスについていけていない感が否めないのが残念。ホームページで見る限り専門科の数もそんなにいないみたいで、かつ低価格なため高品質なサービスを提供する事ができておらず、うつ病の人が本当に欲しているニーズをつかめているのか微妙なところでもあります。

そんな矢先、提供サービスの1つである「うつっぽ」がサービスを停止しました。このサービスは、匿名で「あなたはうつかも」とメールを送り、なるべく早期改善を目指そうとしたサービス。匿名でありスパムメールのような受け取り方をされる事が多く、また文章にも配慮が足りない部分があり、賛否両論が沸き起こりました。



うつっぽ閉鎖テキスト

同社は「仮説検証を経ずにサービスを公開した」ことが失策の最大の原因だとしています。他にも医療系のインターネットサービスを展開している会社とも話したそうですが、やはり仮説検証の甘さが際立つようでした。

この手のサービスは、ある種特定の層に莫大なニーズがあり、かつ社会的意義もあり、将来的にやってみたいサービスに近いんですが…どうも難しいみたいです…^^;

多分、この会社は誰が悪いとかではなく、単に代表の知識が足りなかったという事ではないでしょうか。医学的な仮説の検証、有効性、統計的エビデンス、もろもろの必要事項を知らなかった。専門性が足りなかった。まあ知らなかったというだけで責任があるといえばそうなんですが、彼のやろうとした意思は認める事ができると思います。

こういう専門性が高いサービスこそ、医師などの専門家が展開するべきだと思うんですけどね…
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Date: 2012.09.18 Category: 精神・心理  Comments (2) Trackbacks (0)

最近の「空気読めよw」って言ったらなんか優位な風潮

こんばんは、なぜか今になって鍋を食って汗かいてますyoungdrです。

今日は夕方あたりから、友人とスタバで待ち合わせしてたんですよ。もろもろの手続きがありまして、相手もそのまま別の場所に移動する必要があったので地理的に有利なスタバにしたんです。ダイビングの学科の勉強したり、本を読んだり、新作を味わって久しぶりにくつろぎの時間を堪能してたわけですね。

そしたら、浴衣着た女の人が来たんですよ。祭りの帰りとかですかね、友達らしき人物と一緒でした。いやーしかし流石にそれはないだろうw、と正直思いました。場の雰囲気や空気ってものを見事に壊して一気にカオスな空間が出来上がりました。あげくの果てに、抹茶クリームフラペチーノを床にぶちまけていました…おいおい

浴衣はあんな明るい所ではなく、薄暗くたまに見える夏の柄が控えめで女性的な印象を与えるせっかくの伝統衣装なのに。古き大和撫子を衣装で表した日本の文化なのに。あーなんか同じ若者として、まずそれを理解していない事と、そして浴衣が周りの雰囲気に与える影響を考えてない事にかなりショックでした…



MacBook+浴衣+コーヒー

「いや…似合わなさすぎだろ流石に…真ん中真ん中」

ってなりますよそりゃw



それでいて、最近若い人(少なくとも僕の周り)は、何かあるとすぐに「空気よめっwww空気ww」みたいな事を言う人が多いと思います。

多分、彼らの中では、彼 ら で 言 う と こ ろ の「空気をよむ」ができる人=ステータス、その集団で優位、リーダー みたいな謎の感情が芽生えている気がします。特に、自意識が強くて自己愛が強い、いわゆる「デキる人」に多い傾向がある気がしました。ズバリ学部で言うところの、医学部とか。

おそらく子供の頃、「○○ちゃんはエラいね、スゴいね。おりこうさんだね〜」って言われて育ち、そこそこの能力があったから周囲の環境の手助けもあってエリートになったものの、それはあくまで「周囲」が形作ったレールに過ぎなく、決して自己決定に基づく物ではない。そんな大学生に多い気がします。本当は弱くて何も出来ない自分を、何でもいいからアイデンティティを見つけて心理的に強化したいんでしょう。

あくまで僕の足りない脳みそでの予想ですが。ただ、これじゃなければ、合理的な頭の良い人が、本当は空気が読めていないのに自分たちだけで通じる「空気を読む」をステータスとして扱う理由がこれ以上説明できないです…こうだと思うって方がいらっしゃいましたらコメントかメッセージ下さい。

可能性として「本当はこれが空気を読めてないってわかってるけど、自己愛の強化が気持ちよいからそっちを優先してしまった」っていう場合もあると思いますが。



確かに、言動や雰囲気だけで空気は出来上がって、それに反しないでいようとする事はできる人が多いと思います。というか皆それに反する、はみでるのを過剰に恐れている気がします。しかし、その背景に予備知識が絡まってくる(文化、伝統、宗教などが多い)場合、一気に彼らは空気が読めない存在になってしまうと思うのです。

とはいっても、

……

これって、本当に空気読めてますかね?

そんなに空気を読む事に重きを置くなら、これくらい頼むぜ…マジで…って感じです。

本当にこのての人はタチが悪い、というか僕には合わないです。たいてい話し手も自慢話ばかりだったり、過去の自分の栄光の話だったり…どれだけ自我が確立されてない自己愛に満ちた人間なんだよ……。

とはいっても、自分自身そういう部分が0ではないと思います。ですから自戒の意味も込めて書いていますが、皆さんもこうはならないで欲しいですね…。そして子供にはきちんと自由な教育をしてあげたいです…はい。



ちなみに

なぜ「いい人」は心を病むのか(愛蔵版)なぜ「いい人」は心を病むのか(愛蔵版)
(2012/05/12)
町沢 静夫

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この本で子供の発達時期と教育による精神・人格形成については簡単に学びました。入りやすいのでオススメです。

ではでは…
Date: 2012.08.02 Category: 精神・心理  Comments (0) Trackbacks (0)

フランス人「なんて事だ…周りと同じような人間になってしまった…鬱だ…。」

こんばんは、朝食は薄切り食パン(ハムチーズのせ)+100%ジュースのyoungdrです。

最近あつくて扇風機つけっぱで寝ていますが、よくないらしいです。心疾患のリスクを高めるとか高めないとか。エビデンスはありませんが。

かといってクーラーつけるとのど痛くなるし、どうすればいいんらよ





今日は精神のお話。

どこで読んだのか忘れましたが、精神科の先生が書いた本でこんな内容をみました。


日本人は「周りと異なる人間になってしまった…うつだ…。」

フランス人は「周りと同じようなつまらない人間になってしまった…うつだ…。」



と相談に来るそうです。確かその先生はフランスに留学なさっていて、あくまで主観的にそう感じたとの事でした。(これも統計的なエビデンスがあるわけではありません、あしからず)

なんとなくわかる気がしますね、これ。

日本では同調性が重視され、フランスでは個性やアイデンティティが重視される、そんな文化はありそうな気がします。



これは日本とフランス、異なる国が歩んできた歴史が生んだ、国民性といっても過言ではないでしょう。

古来、日本は農耕民族で村社会だったため、皆で力を合わせて生きてきました。そのため小さなコミュニティをいくつも形成し、協力し合う事で作業効率を高めていったのです。

そして、コミュニティ維持のために、そのコミュニティから外れると邪魔者扱いされ、生きにくい社会を形成したいました。

フランスでは、大きな1つの帝国が築かれる事が多く、むしろ各々が力を自由に発揮させ、学問、武器、建造物、芸術作品、料理などなど優れた文化が発達しました。

よりその文化を強く守り社会で台頭し生き残れる者のみが生き残り、世代を増すごとにその習性が遺伝子に書き込まれていったのではないでしょうか。

shimizu.jpeg


私もフランスのパリに一度訪れた事がありますが、バスに乗っていて、サービスエリアらしきところで休憩になった際、バスの運転手が時間になっても来ない事がありました。いい加減にしろと日本のバスガイドさんが探しに行ったら、不機嫌になってかえってきました。若い女の子をナンパしていたようです。

大体30分ほど遅れてきたのですが、「いーじゃん別に30分くらい誤差だよ誤差、まったく日本人はきっちりしててうるせーなー」的なことを言ってました。あげくの果てに「MAXで3時間遅れた事があんだぞ!俺は!」となぜか主張。そこにいた日本人観光客はきっと「なぜ偉そうに主張しているんだ…」と思ったでしょう。



このように、精神疾患は国や文化、宗教に大きく影響を受けると思います。

逆に、日本で悩むべき内容も海外ではむしろ良い事だったりするんです

もし精神衛生がよろしくなかったり、どうしようもなく落ち込んだら、海外に行ってみてはいかがでしょう?

違った世界をみせてくれるかも?



「周りになじめない?何を言っているんだ!それはいい事じゃないか!HAHAHA!まあハイネケンでも飲め!」


Date: 2012.07.14 Category: 精神・心理  Comments (0) Trackbacks (0)

囚人のジレンマ

こんばんは

昨日ダーツバーで玄人のおっちゃんに絡まれ

「負けたらテキーラ」

やってしまいました。ぼっこぼこのべろべろです

おっさんがさ

「僕は素人だから安心して」

とか言ってんのにマイダーツ握りしめてて

もうね

素人がマイダーツもつんかい!

とか突っ込む気力さえなかった僕です。




なんか前回の記事でアクセスが急に上がってビビってるんでおてやわらかにおなしゃす

あれなんですね

皆さん心理学好きなんですね

確かにおもしろいですもんね





という事で

今日はかの有名な囚人のジレンマについてです



【囚人のジレンマ】
心理ゲーム。心理学を研究する研究者達があみだしたゲーム。二人の囚人1と2は共犯者である疑いが強いが、断定ができない程度であった。1つの軽犯罪の証拠は抑えたのだが、もう1つの殺人の容疑が二人にかかっており、警察が自白を迫る。なかなか自白しない警察が頭を悩ませ、このような取引をもちかける。それは協力すればお互い得をするがどちらか一方が裏切ったり、お互い裏切ろうとすると損をする、相手を信じる事ができるかand相手を思いやれるかand冷静に損得を考えられるかが問われるゲーム。

内容はこのとおり



1が2を裏切り自白し、2が黙秘した場合1は無罪、2は懲役3年

ともに裏切って自白した場合、二人とも懲役2年

ともに黙秘した場合、二人とも懲役1年







皆さんならどうします?






裏切る?


黙秘する?







ちなみにこれ、漫画「ライアーゲーム」で使われてましたね。



さあ



決めました?

裏切る

って人が多いんじゃないですかね。



冷静に考えましょう。

まず二人とも裏切ると、二人で合計懲役4年

次に一方が裏切ると、二人で合計懲役3年

最後に二人とも黙秘すると、二人で合計懲役2年

合理的に集団の利益で行くなら「黙秘」を選ぶはずですが、



「裏切られたらたまったもんじゃない」

「裏切られたらあいつは無罪で俺は懲役3年?そんなのやだ」



そう思って

裏切る選択をしませんでしたか?

こういう集団利益と個人利益の対立がジレンマを生んでいます。








ここで大事なのは、黙秘が得だとかそういうことではありません

このゲームは一発勝負ですごく短期的なので、実は答えはどっちでもいいのです

問題なのは

あなたの人生において

長期的にみてどうかという事です。

このゲームを100回繰り返すとしましょう。

ほら

どうでしょう?




関係が長期的になるだけで結論が大きく変わる事




に気づけましたか?

どう考えても、100回黙秘した方がよさそうではないですか?

これは、実は皆さんが本能的にもっている能力で

長期的に協力関係を維持する必要性があるなと判断した場合に利他的行動に出る、集団利益を優先する

いわゆる思いやりというやつです

逆に薄い関係においては目先の利益を優先し、個人利益を優先する

例えば、両親や親友や恋人に対して明らかな利他的行動をとりますよね

逆に、たまにしか話さないクラスのやつとかに頼まれ事されたら嫌ですし

あわよくば利用してやろうくらいの気持ちの人が多いんじゃないですかね



ここで、とにかく覚えておいてほしいのは

長期的な関係を結ぶのであれば、集団利益を優先した方が自分のためになる

という事です

「損して得とれ」

「情けは人のためならず」

「友達は裏切るな」

「パートナーに嘘だけはつくな」

昔の人はそれに気づいて、でも若いうちは気づきにくいから言葉として残したのでしょう

なんて利他的なっ!…集団利益優先的な行動っ…!ざわ…ざわ…



頭の良いやつに限って、人間関係の構築がうまくいかない最大の理由な気がします。

特に医学部はそういう人が多くて、ああ…残念だなあ…って思うときがあります



ちょっとうざい話します。

僕は、昔から利他的行動をとるように親に教育されてきて

嫌々ながらやってきたのですが

たまにしか話さなかった小学校の友達が「今度のみにいこう」とメールをくれたりします。

そいつはなんとなく学校に来れなくて不登校だったんですが

仕方ないなと思いながらも、そいつの家によって話したりしてて

そしたら昼休みだけくるようになって

昼休み一緒に遊んで

だんだん授業にでるようになって

今はちゃんと働いてます。

高卒で工場のラインで働いてるんですが、世界が違う人種なので話が新鮮ですし、違った世界を僕にみせてくれます。



あのとき、めんどくせーと思いながらもそいつの家に行って、よかったです。



僕に新しい価値観を提供してくれる貴重な友人になったのですから。


Date: 2012.06.24 Category: 精神・心理  Comments (0) Trackbacks (0)

「今までの〜が無駄になってしまう」という心理

おはようございます、今日は久しぶりに午前中がフリーなのでブログ更新です。





いきなりですが、僕は結構色んなジャンルの学問に興味があります。

もちろん医学、医療関係の本も読まなくはないですよ

他にも小説、歴史、哲学、経済学、経営学、金融工学、組織マネジメント、自叙伝etc…

今回は、そんな中から 行動経済学 について書きたいと思います。





行動経済学は、平たく言うと

「人間は必ずしも合理的な判断ができない」という事を学問として紐解く心理学のようなものです。

今回は サンクコストの呪縛 について。



サンクコストとは「もう支払ってしまった費用」の事で、日本語では「埋没費用」とも言われます。

かの有名なコンコルド機の開発も、このサンクコストによる失敗と言われています。

この事業は、開発を始めたものの、途中で大きく予想が修正されます。

追加費用が発生し、収益に見合わない事が判明したために計画中止を検討しました。



「多額の費用をすでに支出してしまっている」

という理由で、開発が継続され、結果商業的に大失敗し、定期運行も終了しました。



このように、合理的に考えれば明らかにやめておくべき事でも

今までかかったコスト(お金、時間、努力)が無駄になる事を過剰に恐れるあまり

最終的に自分が損してしまう。

これをサンクコストの呪縛といいます。



A「ねえ、やっぱりやめにしない?」

B「ここまでやっちゃったんだから、今までの努力が無駄になるだろ。やっちゃおうよ。」

A「えー、うーん、確かにそうなんだけど…」



こんな会話聞いたことありませんか。

もしくは自分がAもしくはBの立場になったことがありませんか。

必ずしも合理的に判断し生きて行く事が重要とは言いません。

人間ですから失敗もするでしょう。

しかし

人生における大事な判断を迫られたときに

合理的に判断できるようにはしておきたいものです。

Date: 2012.06.16 Category: 精神・心理  Comments (0) Trackbacks (0)
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